ウナボンの泣き泣き日記

ウナボンの泣き泣き日記

9.医者vs患者

☆医者vs患者☆

26歳の12月。早速O病院のT先生の所へ行ってみた。
ゴルフで余り病院にいないと聞いていたので、かなり軽い人をイメージしていたが
ガチャピンに似た憎めない風貌だった。

以前撮ったMRIの写真をT先生に渡すと「左だね」とおっしゃった。
私の知ってる情報は、左右という話のままなので「左だけですか?」と確認すると
「右はない」と言われた。
‘いや~ウソみたいだ’知らないうちになくなってくれた。
だからと言って手術は免れないのだが、心配事がひとつ消えた。帰りにこの病院でも血液検査をした。

数日後、結果を聞くとやはりよろしくないとの事。
そしてついに手術日が決まった、1月22日。今回はさすがに受けるしかない。
T先生に「次回は手術の説明をしたいのでどなたかと一緒に来て下さい」といわれたので
実家は遠いしと考えた末、結婚話のかけらも出ていない段階の彼を婚約者という名目で連れて行くことに決めた。
でもさすがに彼に内緒にしておく訳にはいかないので、一応その旨は伝えたがこれといって嫌がる様子も見受けられなかった。

彼には日頃から病気の話をしたり、愚痴をこぼしていた。その中で
「最近の手術に腹腔鏡ってのがあるらしい。それは開腹じゃなくて、1cmくらいの切れ目を3ヶ所開けてモニター見ながら手術するんだって。
 だからキズが早く治るんだってサ。どーせだったらその方法がいいなー」
という事も話していたので『どーやって先生にこの希望を伝えるか』二人で考えた。
「じゃーさー、患者本人が先生に言っちゃうと、先生も人間だから気ィ悪くすると思うからさぁ、俺が悪者になって言ってみるよ。
 そしたら本人嫌われる事ないし、俺が嫌われるのは構わないから」
‘スッゴイ!ナイスアイデアだ!頭脳プレーだ’
そしてこの頼もしい彼と共に病院へ行った。

「ガンかもしれない人にそんな手術はやらない!
 ガンが他に移ったらどーするんだ!キズなんかより、ガンを確実に取り出す方が大事なんだ!
 ウチじゃそんな危険な手術やらないから、どーしても腹腔鏡でやりたいなら他の病院を紹介するから、廊下で話し合ってきて!」

予測はしていたけど、んまーご立腹、ご立腹。
こんなに医者が感情ムキ出しにするとは思ってもみなかった。

トボトボ彼と私は廊下に出て
「やっぱりダメだったねぇ。開腹しかないみたいだねー。」
「うん、諦めがついたよ、ありがとう」
と彼にお礼を言って、私はT先生の所へ行った。
「先生、やっぱり開腹でお願いします」
そう言うと、もう落ち着いていた先生は
「その方がいいと思うよ」とおっしゃって、次回は家族を連れて来るよう言われた。

***** 10.この母にして… へ続く *****  


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